活動報告(2008年度)                          

 いわき環境研究室の活動をご紹介いたします。

 国道289号荷路夫バイパス・エコロード関連事業 その1(平成20年度植樹活動)

 福島県いわき建設事務所が実施している国道289号荷路夫バイパスの工事では、周辺への環境負荷をできるだけ小さくし、完成後の維持管理を軽減するとともに、地域に長く愛される道路を目指して“第2世代のエコロード”という手法が取り入れられています。 この工事では複数のNPOを束ねた“ジョイントNPO”という手法で住民参加を促す「エコロード研究会」がつくられ、デザイン分科会・広葉樹復元分科会・住民参加地域連携分科会の3つの部会が設けられています。このうち、当NPO法人では昨年度後半から“広葉樹復元分科会”の運営を引き受けました。
 平成20年度はまだ正式に事業の受託を受けていませんが、樹木の成長は待ったなしですので、いわき建設事務所に進言して、植樹に適した時期を選んで植樹活動を企画・実施しました。
 4月9日に丸一日をかけて、植樹活動のための準備作業(植樹位置マーキングおよび圃場での苗選定・掘り起こし等)を行い、当日に備えました。
 4月13日(日)当日は、地元住民21名の他にボランティア、NPO法人いわきの森に親しむ会、いわき建設事務所職員とその家族など総勢42名が参加し、9:00から12:30頃まで汗を流しました。
 今回植樹に使用した苗木は、道路建設工事が始まった際に現地に生育していた樹種を仮植しておいたツツジ・モミジ・サクラなどや、実生から育てたコナラで、工事のためにわざわざ購入したものではありません。自然環境などその土地柄に合った樹種だからこそ生育に適しており、工事の前後で植生の改変をできるだけ抑えるという“広葉樹復元”の理念が活かされるわけです。
 ただし、今回植樹を実施した法面は付近に居住する家の目の前であったり、取付道路との交差点があったり、という条件のため、あらかじめ将来の景観や見通し性を考慮して樹種を選定しての作業でした。

 国道289号荷路夫バイパス・エコロード関連事業 その2(植樹活動後の樹木配置等調査)

 4月13日(日)の植樹活動では作業終了前から雨が降り出し、植樹した樹木の配置図を作成することができませんでした。
 植樹した樹種とその位置を記録しておくことは、その成長過程をモニタリングする上で必要な作業であるため、4月28日(月)に改めて現地調査を行いました。当NPO法人の3名(古内・橋本・大平)の他に、いわき建設事務所からも橋本係長以下2名が同行されました。
 4月13日の植樹活動後に大雨の被害があり、今回の法面も一部崩壊し、植樹の一部が流されてしまっていましたが、残った樹木はおおむね活着し、元気に生育しているのを確認しました。

 川前小中学校せせらぎスクール(拡大版)

 5月27日(火)、川前小中学校でせせらぎスクールの拡大版を行いました。
 これは同校の先生から依頼を受けて昨年度に続いて2度目の実施で、橋本理事長・大平副理事長・江尻さんの3名が担当しました。
 はじめに、河川全体を学習するために、事前に夏井川流域について学習しました。図書室に集合した小・中学校の全校生徒16名にPowerPointを用いて解説しました。
 福島県が薦めているせせらぎスクールは、水質指標生物の採取を中心として河川の水質を調べるものですが、当NPO法人ではせせらぎスクールで定めている調査項目(水温・川の状態・におい・にごり・COD)のほかに透視度・導電率・アンモニア性チッ素を追加しました。
 また、調査地点の水を測定するだけでは他の場所とどう違うかまで考察することができないため、事前に別のポイントの河川水を採水しておき、一緒に検査してもらうことにしました。こうすることによって、川前地区が下流域の水に比べて相当にきれいであることがわかります。
 調査地へ向かう前に学校の敷地内で、夏井川下流の鎌田橋付近の水と新川の水について水質検査を行いながら、測定方法を覚えました。
 小・中学校合わせて16名の児童たちは数班に分かれて調査を行いましたが、上級生が下級生の面倒をみる小規模校ならではの微笑ましい様子が見られました。
 次いで、数台の車に分乗して今回の調査地である夏井川支流鹿又川笹鳴橋付近へ移動しました。
 最初に川の水を採取して、先ほど学校で行なった方法で水質検査をしました。夏井川下流域の2地点に比べると、驚くほどきれいな水質であることをあらためて実感していました。
 メインの水生生物調査では、水の冷たさにキャーキャー言いながらも、小石の下から次々に見つかる生き物を見つけては、あちこちから歓声が上がっていました。所定の時間後、バットに入れた生物を地上に運んで同定の作業をしました。
 さらに今回は、川(水)だけでなく調査地の河川周辺の環境にも目を向けてもらおうと考え、自然観察学習を取り入れてみました。どんな植物があるかを事前に当NPOが簡単な植生調査をして、比較的見つけやすい24種類をリストアップし植物ビンゴゲームを作成し、先生と児童たちの班ごとに探させて、決められた時間内にいくつビンゴが出来たか競争するという遊びの要素を加えてみました。
 時間の制約から十分に探すことができませんでしたが、それでも観察力の旺盛な児童は半分以上見つけることができました。
 ビンゴゲームの後は、これも当NPOが時間をかけて用意したシートで、紙芝居風にそれぞれの植物の特徴や名前の由来を説明し、調べ学習の楽しさを伝えました。
 終了後学校へ戻り、児童代表からお礼の言葉、先生方からは「私達も勉強になった」という言葉をいただきました。
 後日、この授業内容は『川前小中学校だより』に掲載され、児童たちの感想文が裏面いっぱいに載せられました。

今回の水質検査結果(子供たちが実際に測定した結果):

検査項目単位採水箇所
鎌田橋新川鹿又川
水温 15.5 16.0 12.0
においプールの臭い プールの臭い 無臭
透視度 cm 27 54 100以上
pH 7.5 7.4 7.2
COD ppm 7 7 4
アンモニア性窒素 ppm 0.4 0.4 0.2以下
導電率 μS/cm 99 455 45

採取された水生生物;

  • ★エルモンヒラタカゲロウ
  • ★ナミウズムシ(=プラナリア)
  • カミムラカワゲラのなかま
  • ★ヘビトンボ
  • トゲマダラカゲロウのなかま
  • マルツツトビケラ
  • コカゲロウのなかま
  • ★ナガレトビケラ
  • ナベブタムシ
(★は水質指標生物)→ 上記区分より「きれいな水

 内郷公民館の市民講座

 平成20年5月7日から6月25日までの期間で4回にわたり、いわき市内郷公民館(木田館長)主催の市民講座が開かれ、うち第2回目を除く3回を当NPO法人が担当しました。『地球環境を考える』と題して、地球温暖化問題の正しい情報や身近な日常生活で何ができるか、などを分かりやすく解説しました。
 第1回目(5月7日)は橋本理事長の講義、第2回目(5月21日)はいわき市環境企画課の出前講座、第3回目(6月11日)はいわき市内の施設見学でマイクロバスにより“クリンピーの家”とトラスト企画四倉工場を見学しました。
 当NPO法人が公民館担当者と事前に下見をし、当日はガイド役を務めました。“クリンピーの家”では「3R」の実践を視察し、私達が日常において資源ごみの分別について再考してもらうことを目的としました。“クリンピーの家”で案内してくださった諸橋所長は、その後当NPO法人にご入会いただきました。トラスト企画四倉工場では、廃食油からバイオ燃料をつくる過程を同社の川崎さんに案内していただきました。
 最終回(第4回・6月25日)は内郷公民館の会場で、地球温暖化に対して私達は日常生活でどのようなことに気をつければよいか、講義を受講するだけでなく、当NPOの橋本理事長・大平副理事長がコーディネーターを務めワークショップ形式で参加者から意見を述べていただきました。

 夏休みの理科自由研究応援講座

 7月6日、いわき市フラワーセンター主催・当NPO企画運営で、いわき市内の小学生の子供と保護者を対象に『夏休みの理科自由研究応援講座』を開催しました。
 この企画は、いわき地域環境科学会の子供環境研究発表会の支援を行なうことを目的として、子供たちの理科離れを解消し、自由研究に取り組みたいがどんなテーマで何をしたらよいかわからない、という悩みにお応えしようというものです。初めての今回は“土と土壌生物”の観察をテーマとしました。
 講師には、いわき市フラワーセンター顧問で当NPOの会員でもある古内先生に全般的な指導をしていただいたほか、湯本高校教諭で子供環境研究発表会でも毎回講評をしていただいている吉田真弓先生に講義をお願いしました。フラワーセンター内の林間から自分達で採取してきた腐葉土を研修室に持ち込み、肉眼での拾い取り法で生物を採取したり、ツルグレン装置で捕獲した小さな生物を顕微鏡観察したりしました。研究成果をどうまとめるかについてもアドバイスしたほか、最後に当NPOの大平副理事長がパソコン(PowerPoint)を用いて発表する際の注意点も解説しました。5組の親子が参加し、「とても勉強になりました。来年もぜひ参加したいです」というアンケートを寄せてくださった方もあり、実際に小学校の理科自由研究の成果を出品されたそうです。

 下小川地区用排水路自然観察調査・講座

 7月20日、小川町の「下小川地区環境を守る会」「下小川・関場子供会育成会」の依頼により、同地区の農業用排水路の生息生物調査と川の環境学習講座を実施しました。
 最初に、会場となった地区の集会所で夏井川流域についてPowerPoint学習をし、引き続き水質調査を体験しました。調査対象の用排水路だけでなく、同じ流域の別の地点の夏井川の水を採水してきておいて、水温・におい・透視度・pH・COD(パックテスト)・アンモニア性窒素・導電率を比較しました。その後、調査対象の用排水路へ移動して参加者の親子がにぎやかに生物採取を実施しました。最後にもう一度集会所にもどり、採取した生物の名前と数を確認し、生物に関する解説を当NPOの大平副理事長が行いました。参加者の中には、興味を示して積極的に質問する子供もいました。子供会の会長(保護者)は毎年変わるとのことで、来年度の会長さんから引き続きお願いしたい旨の依頼を受けました。

 三和公民館の親子ふれあい講座

  8月9日、いわき市三和公民館主催の「親子ふれあい講座」が開催され、当NPOでは“親子で学ぶふるさとの川”と題して環境教育講座を企画運営しました。
  講座では、三和地区のふるさとの川として公民館のすぐ裏手を流れる「好間川」をテーマに、流域学習と水質試験体験、昼食をはさんで水生生物調査を行なった後、参加者が記念に持ち帰れるように、川原で拾った石に絵や言葉を描く想い出づくりをして終了となりました。
  意外だったのは、当地区は好間川でも上流にあたり沿川の人家も多くないことから、相当に水質は良いだろうと推測していたのですが、実際に採水した河川水を試験したところ、CODやアンモニア性窒素が検出され、においも「こやし臭い」という結果が出ました。どうやら、採水場所の近く(上流)に惣菜工場があって、そこからの排水が流入してきていることが原因のようです。次年度など、機会があれば惣菜工場排水口の上流と下流で水質を比較したいと思います。
  せせらぎスクール(拡大版)として実施した今回の企画は、参加された地元子供会役員のお母さんから「子供会行事にも参考になる内容で、とても勉強になりました」という感想をいただきました。

 地域連携温暖化防止対策事業(うつくしま基金助成事業)

 地球温暖化防止活動推進センター(超学際的研究機構)は、今年度うつくしま基金(自治体との協働事業)の助成を受けて、同センター独自の活動に加えて、郡山市(市役所のみ)・「環境にやさしいくらしかたをすすめる会」(いわき市も会員となっている)・福島テレビとが連携して、温暖化防止のための啓発活動を展開しています。
 「環境にやさしいくらしかたをすすめる会」はいわき市のバックアップはあるものの、事務局機能の強化が必要で、上記事業を進めるにあたっての“研究会”事業(本来の「すすめる会」事業以外の温暖化対策関連事業を“研究会”と命名)の運営を当NPOが担うことになり、現在も進行中です。
 8月23~24日には「2008ふくしまビッグフェア」に出展し、「環境にやさしいくらしかたをすすめる会」会長の和田さん(当NPO理事)・当NPO橋本理事長・大平副理事長といわき市環境企画課から阿部係長と七海さんの5名が参加しました。例年ですと猛暑に悩まされるとのことでしたが、2日間ともあいにくの雨天となり雨合羽が手放せない状態で、猛暑を想定して県内外から出展した飲食関係のブースは、すっかり期待はずれとなってしまいました。
 この後、同事業では地球温暖化防止の基礎知識を学ぶ講座や工場見学、いわき市内の事業者の取組み事例発表の講演会等を2009年2月まで随時開催していきます。

 体験的環境教育指導員トレーニング講座

 福島県(生活環境部環境共生課)との協働事業で「体験的環境教育指導員トレーニング講座」を開催しました。この事業は、昨年度まで福島県が直接開催していたのですが、今年度より県内のNPOなどの団体から公募し、いわゆる企画コンペに基づいて選ばれた団体に県が業務を委託することになったものです。
 5月に申請とヒアリングがあり、その結果県内に3つの団体を決定し、3地域から1団体ずつがそれぞれの地域で開催することになりました。他の受託団体は1回1日のスケジュールで、8月6日には喜多方市内で『楽しく身につく!教えるコツ』と題して、地球温暖化防止活動推進センターが“ごみについての教え方”、9月13日には会津若松市内で『ストップ!地球温暖化 ~実験・操作活動を通して環境教育の指導法を学ぼう!~』というテーマで、特定非営利活動法人環境保全会議あいづが講話と自然エネルギー体験のワークショップの講座を開きました。
 当NPOは、NPO法人いわきの森に親しむ会との共同企画運営のかたちで『流域環境を対象とした学習指導者養成のための実践講座』というサブタイトルで、全5回の講座としました。たった1回の講座では自然環境のきちんとした知識が身に付かないだろうという思いからです。5回だからといって1回しか実施しない団体より多くの予算がつくわけではなく、委託した県の担当者から心配されたりもしましたが、当NPOのメンバーとして在籍している優れた講師陣のご協力により、無事に5回の講座を終了し、3つの中で最も充実した講座だった、とお褒めの言葉をいただきました。講師および運営にご協力くださった皆様に、紙面を借りてあらためて御礼申し上げます。
 先日、県の担当者とふりかえりの打合せをしましたが、県では次年度も(予算がつく前提で)実施したいとのことで、今年度同様に公募方式となるかどうかは未定ですが、引き続き協力を求められました。

 いわき踊り関連大気汚染調査

 いわき市観光物産課からの委託により、いわき踊り開催時の交通規制(いわき駅前大通り~小太郎町公園)によって締め出された車両が平中心市街地の周辺地域に及ぼす大気汚染の影響を調査しました。
 調査は、開催日当日の8月3日14:00 ~ 21:00と、イベントのない平日比較値として9月3日の同時間帯に、一酸化炭素・二酸化窒素・脂肪族炭化水素の3項目を検知管による簡易測定法により、せきのホール駐車場(小島町)と洋服の青山前(平谷川瀬)の2ヶ所で実施しました。結果は、いずれの日時・場所でもNDでした。(ND:Null Detectの略で「検出せず」の意)

 好間一小「せせらぎスクール」支援講座

 好間第一小学校の先生(5年生担任)からの依頼に基づき、9月10日に「せせらぎスクール」の支援講座を行ないました。
 最初に、同校のパソコン教室で夏井川・好間川の流域学習と水生生物についての基礎知識学習を行ないました。(福島高専にもない最新鋭AV機器に講師側もビックリ!)その後、徒歩で同校北側を流れる好間川堤防を上流へ移動し、松坂橋付近で水生生物の採取と同定を体験しました。登下校の際や日常生活で何気なく見ている地元の川ですが、初めて直接入ったという児童も多かったようです。最後に学校へ戻り、他の地区から採水した水も含めて水質検査をして水の汚れ具合を比較しました。
 採取された水生生物は、カワゲラ・ヒラタカゲロウ・ヘビトンボ・コオニヤンマ・ヒラタドロムシ・ヒル・ヒゲナガカワトビケラ・チラカゲロウ・ヤゴ2種・ガガンボ・モンカゲロウ・ナベブタムシ・モクズガニ・アユ・ウグイ・カジカで、水質階級の判定は「Ⅰ=きれいな水」でした。今回の講座には、NPO法人いわきの森に親しむ会のメンバーと「体験的環境教育トレーニング講座」の受講者にも参加ご協力いただきました。

 第3回温暖化防止研究会

 先の活動報告でもお伝えしたとおり、平成20年度うつくしま基金(自治体との協働事業)の助成を受けて「環境にやさしいくらしかたをすすめる会」(いわき市も会員となっている)・福島テレビ・地球温暖化防止活動推進センター(超学際的研究機構)が連携して温暖化防止のための啓発活動を展開しています。当NPOは、この活動の中心的なメニューである「温暖化防止研究会」の事務局機能の援助を行なっています。
 平成20年10月25日(土)いわき市文化センターにおいて「第3回温暖化防止研究会」が開催されました。第3回では“市内企業における地球温暖化防止の取組み事例発表会”の第1弾として、2つの団体の発表をお願いしました。
 1件目は「バイオ燃料の事例紹介」と題してトラスト企画株式会社の川崎朝光さんで、様々な環境ビジネスの取組み事例の中から、特に廃食油のリサイクルによるバイオ燃料製造について詳しくご紹介くださいました。2件目は「環境ビジネスと市民との協働 ~ エコポイントのスタートにあたって」というテーマで、NPO法人ザ・ピープル代表の吉田恵美子さんから古着のリサイクル活動をはじめとした多彩な活動内容と、今回は特にエコポイント導入についてご説明いただきました。

 第4回温暖化防止研究会

 上記に引き続き平成20年11月2日(日)には、LATOV 6階のいわき産業創造館企画展示ホールにおいて『家庭で簡単 楽しく省エネ』と題して省エネルギー講演会が開催されました。本講演会は、いわき市主催のいわき産業祭「地球環境フォーラム」第2部として開催されたものです。講師の宇羽野エネルギー管理事務所代表・宇羽野 浩さんは、環境省主催の「平成19年度省エネコンテスト」において、「省エネ家電普及促進フォーラム賞(家庭部門)」を受賞し、本講演会では受賞内容を交えた家庭でできる省エネ実践方法をご紹介くださいました。なお、第1部では平成19年度「福島議定書」事業で学校での取組みとして「優秀賞」を受賞したいわき市立中央台南小学校の受賞報告と、本講演会後に第3部として「第7回いわき子ども環境賞コンクール」表彰式&受賞作品発表会も行なわれました。

 ひまわり信用金庫と協定書調印

 ひまわり信用金庫では地球温暖化防止に向けて“エコ定期預金”を発売しました。この商品の預入金額の一部を地球温暖化防止活動を行なっている団体に寄付するというもので、福島県地球温暖化防止活動推進センター(超学際的研究機構)と当NPO法人の2団体が選ばれました。選定にあたっては、いわき市内を営業の拠点としていることから出来るだけ地元で活躍している団体に、ということで当NPOが選ばれたとのことです。
 平成20年11月21日ひまわり信用金庫本部において、ひまわり信用金庫の台(うてな)理事長と橋本理事長との間で協定書の調印式が行なわれました。

 国道289号荷路夫エコロード育樹活動

 平成20年度の国道289号荷路夫エコロード関連事業は、事業者の福島県いわき建設事務所の発注(対コンサルタント)が遅くなり、10月下旬の締結となりました。
 当NPOは、昨年度からエコロード研究会の“広葉樹復元分科会”の運営を任されており、今年度4月に植樹した箇所(NewsLetter夏季号参照)と昨年度にモニタリング調査を実施した箇所(平成18年度植樹)で、11月23日(日)には地元住民15名を含む総勢28名により下草刈りとモニタリング調査(追跡調査)を行ないました。
 当日の作業だけではとても1日では終わらないため、11月19日(火)にNPO法人いわきの森に親しむ会メンバー10名の協力を得て事前の下準備を実施しています。

 自然エネルギー体験教室

 平成20年11月24日(月=祝)いわき市フラワーセンターで『自然エネルギー体験教室“風の力を使ってみよう!”』を開催しました。
 地球温暖化防止に関する取り組みが多方面で行なわれていますが、その一環として子供たちに電気を使わない自然の力について遊びを通して楽しみながら学んでもらおう、という趣旨で開きました。
 今回の教室では、最初に現在開発が進んでいる新エネルギー(太陽光・風力・波力など)について簡単に紹介をしてから、NPOで材料を用意し作り方を指導して、風をプロペラで受けながら風上に向かって走る“ウィンドカー”を親子で作り、実際に走らせて競争するというところまで行ないました。最初はうまく走らないウィンドカーも、ちょっとした工夫でスイスイ走るようになり、競争を楽しんだ後自宅に持ち帰りました。
 参加者の中には、7月に同所を会場に開催した『夏休みの理科自由研究親子応援講座』を受講した親子(お母さんと女児)もいて、「こうした教室や講座をもっと開いてほしい」との希望も寄せられました。
 いわき市フラワーセンター顧問で当NPO会員でもある古内先生から、定期イベントとして毎年テーマを変えて開催しては、というご提案があり企画運営したもので、当NPOとしては今後も継続して開催し、毎回違ったテーマで環境への啓発を行ないたいと考えていますが、平成21年度からいわき市フラワーセンターの指定管理者が変わることから、年間のイベント計画にも影響が出そうで、新年度事業については4月以降に検討が必要になっています。

 環境教育「夏井川とわたしたちのくらし」in草野小学校

 平成20年11月29日(土)いわき市平下神谷の草野小学校で、総合的な学習の時間を使って環境教育の出前講座を行ないました。同校の先生からの依頼に基づき4年生を対象に「夏井川とわたしたちのくらし」と題して、スライドによる学習と子供たちからの疑問質問に答える特別授業です。
 児童たちは、ちょうど社会科の学習で川について学んだというタイミングで、身近な川の自然環境や生活排水の影響などに関心が高まっているということでした。季節的には野外での学習はできませんでしたが、質問タイムではかなり詳しく聞いてくる児童もあって、熱心にメモを取っていました。
 当日になってわかったのですが、この日は学習田の収穫祭など他にもいくつものメニューが終日用意され、学校をあげての大イベントとなっていたり、当NPOでは後述の「第5回温暖化防止研究会」が午後に控えていたりというスケジュールで、あわただしい中での講座となりました。

 第5回温暖化防止研究会

 平成20年11月29日(土)午後、いわき市文化センターにおいて「第5回温暖化防止研究会」が開催されました。第5回では“市内企業における地球温暖化防止の取組み事例発表会”の第2弾として、第3回研究会と同様に2つの団体の発表をお願いしました。
 1件目は「地球温暖化防止に向けての常磐共同火力(株)勿来発電所の取組み」について同発電所地域交流グループリーダー(次長)の正木良成さんに発表していただきました。勿来火力発電所の発足当時から現在までの経過、下水汚泥を再利用した「炭化燃料」を用いた発電、地元小学生向けに毎年実施している「環境&エネルギー教室」についてご紹介いただきました。
 2件目は「身近なところから温暖化防止を ~ エコ車の活用」と題して、(株)アメニティいわき代表取締役会長の根本 茂さんが自社で開発した汚泥脱水車の機能についての説明や、合併浄化槽の普及が公共下水道よりも河川水質の向上に効率的であることを熱弁されました。

 第14回エコロード研究会

 通算14回目となる国道289号荷路夫エコロード研究会が平成20年12月12日(金)にインフォメーションセンター(通称タヌピーハウス)で開催されました。今回の研究会は、本年度最初の発注者(いわき建設事務所)・コンサルタント・JN(ジョイントNPO)の顔合わせとなり、道路の供用開始が2年後に迫った今、地元の活動をどのように強化していくか、を考えて今後の取組みを話し合いました。

 赤沼環境保全会「水との共生」出前講座

 平成20年12月14日(日)平下神谷赤沼地区構造改善センターを会場に、赤沼環境保全会の要請を受けた福島県企画調整部土地・水調整課からの依頼を受けて、出前講座を開催しました。時期的に野外での学習は無理なため、次年度、正式に水質および生物調査を行なうための事前学習を目的に行ないました。夏井川流域のようすや当NPO法人の環境学習支援の事例をスライドで発表した後、事前に採水しておいた地元の河川水のパックテストや透視度測定を体験しました。
 講座を受けた親子や保全会・子供会の役員さんからは大きな反響があり、来年は野外での学習も含めて是非とも実施したい、との声をいただきました。

 「環境・エネルギーフェア2008」出展

 平成20年12月20日(土)・21日(日)の2日間(出展準備のため実際には前日の19日にも来場)、郡山市のビッグパレットふくしまにおいて『環境・エネルギーフェア2008』が開催されました。当NPOでは、7月末から10月初めにかけて5回に分けて実施した『体験的環境教育トレーニング講座』の開催報告をこのイベントで発表することが義務づけられており、1ブースを設けて出展しました。
 こうしたイベントへの参加(出展)は初めてのことでしたので、他のブースと比較すると見劣りしてしまいましたが、会場は予想を上回る盛況で、福島県内の企業や団体の環境に対する意識の高さに驚きました。特に、地球温暖化対策に寄与するような環境に配慮して開発された製品の展示は、どれも一見の価値があるものばかりでした。
 会場では、同様に『体験的環境教育トレーニング講座』を開催したNPO法人環境保全会議あいづのブースも近くに展示されていて、担当者とも話をすることができました。会津大学にゆかりのある人達で構成されたNPOで、当NPOと同様に環境教育支援などをメインに活動されているとのこと。自作の自然エネルギー体験グッズなども出展されていて、大変参考になりました。

 第6回温暖化防止研究会(最終回)

 先の活動報告でもお伝えしたとおり、平成20年度うつくしま基金(自治体との協働事業)の助成を受けて「環境にやさしいくらしかたをすすめる会」(いわき市も会員)・福島テレビ・福島県地球温暖化防止活動推進センター(超学際的研究機構)が連携して温暖化防止のための啓発活動を展開して来ました。当NPOはこの事業の中心的なメニューとなった「温暖化防止研究会」の事務局機能の援助を行ないました。
 平成21年1月24日(土)福島高専において「第6回温暖化防止研究会」が開催されました。当研究会事業の最終回となる第6回は、温暖化防止活動に造詣の深い著名な先生を講師としてお招きしようということで、いわき未来づくりセンターと地元の環境団体(いわき地域環境科学会)との共催により開催しました。藤村先生は、電気を使わない「非電化」生活のための発明で国内だけでなく、モンゴルなど海外でも活躍され、これまで何度もテレビ出演されています。
 当日は、数点の発明品を持参され、開発のエピソードや私達が愉しく省エネ生活を実行するヒントなどを話されました。

 国道289号エコロード解説員養成講座

 平成20年度国道289号エコロード事業のひとつとして、平成21年2月15日(日)エコロードインフォメーションセンター(通称タヌピーハウス)において「エコロード解説員養成講座」が開催されました。
 本講座は、主に地元の人達がエコロード(国道289号荷路夫バイパス)を地域の財産として広くPRするために、自らが見識を深め、人に教える技術を学ぶことを目的として数年前から年次的に開催されてきたものです。
今回の講座では、エコロード研究会の座長を務めていただいている福島県鳥獣保護センターの溝口先生が「自然の価値と地域の課題」と題して講義をされた後、意見交換会となりました。
 溝口先生の講義は、自然豊かな地域の価値を再発見することの意義や生物多様性の考え方を経て、地域がいかにして課題に取り組むかを分かりやすく解説され、非常に参考になりました。
 しかしながら、参加者の多くの関心事は、いわき建設事務所の工事が平成22年春に終り道路が供用開始されて、行政の支援がなくなった後で沿道の広場の利用方法や維持管理についてどうするか、ということでした。講義の後の意見交換会や昼食をはさんでのフリートーキングでは、高齢化が進む中で人的支援や経済的支援の必要を訴える声がある一方で、中山間地域と都市部との生活が同質化して来ており若い世代の参加が難しい現在、若手を集めることを考えない方がよい、という意見も出されました。
 また、現地に関する具体的な提案として、田人支所の協力を得ながらトイレを設置し管理する必要があることや、ゴミ捨て場となりやすい場所(沢・道路のカーブ・旧道入口・スギ林など)や希少種の盗掘を防止するための監視員を配置しなければならないなどの意見が出されました。
 今後は、窓口となる緩やかな組織を地元につくる必要性を強く感じました。

 第15回エコロード研究会

 平成21年3月4日(木)16:00から田人支所において第15回エコロード研究会が開催されました。
 今回の研究会は、平成20年度の活動報告と工事の進捗状況について事務局であるいわき建設事務所から説明があった後、議事として今後の活動について各分科会ごとの方針だけでなく、行政(いわき建設事務所)が事務局を担う最終年度となる平成21年度の活動について、熱心な議論が行われました。
 これまでは、地域住民とエコロード研究会、エコロード解説員の3つが連携して活動をしてきましたが、平成22年度からはエコロード研究会はオブザーバーとしてサポートするものとし、エコロードが縦走する3地区(入旅人・荷路夫・貝泊)で組織をつくり、地域住民とエコロード解説員が連携するようにしてはどうか、という案が提示されました。
 行政側からは、これまでのいわき建設事務所と道路完成後に維持管理を担当する勿来土木事務所(いずれも福島県)が地元の自立を支援していきます。
 活動のめあてとしては、① エコロードを地域の資源としてとらえる ② エコロード及びその周辺の美化に努める ③ 沿道の平地を利活用し地域の活性化を図る ④ 積極的に田人町の情報発信を行う の4点です。

 ひまわり信用金庫から寄付の贈呈

 前の活動報告でお伝えしましたが、ひまわり信用金庫では地球温暖化防止に向けて“エコ定期預金”を発売し、その預入金額の一部を当NPOの活動に寄付をいただくということで協定を締結しました。
 ひまわり信用金庫はこの不況下にもかかわらず予定通り販売を達成され、平成21年3月25日(水)に、当NPOと福島県地球温暖化防止活動推進センターへ寄付の贈呈式が執り行われました。
 また、贈呈式の当日には間に合いませんでしたが、4月1日に当NPOからひまわり信用金庫へ感謝状をお渡ししました。
 このたびの寄付は、私たちの活動に弾みをつけるものとなります。
 これまでも当NPOでは省エネルギーや自然に配慮した生活環境の改善に寄与してきましたが、寄付の趣旨を踏まえ、自然環境の保全に向けた取り組みに地球温暖化防止の観点を積極的に加えた講座等の開催を進めていきたいと考えております。

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シンボルマーク

 

全体の形は水面に落ちた水滴を表しています。 水は環境の大きな要素です。内側の緑の輪は山、水色の輪は川、外側の濃い青の輪は海(太平洋)を表わしています。
福島県いわき地域は、山・川・海の3つを有する自然豊かな環境に恵まれています。また、いわき地域は “東北の湘南” とも呼ばれる温暖な気候で、日照時間が長いもの特徴です。マーク中央のオレンジの部分は、その太陽の光を"iwaki"の頭文字"i"で表わしています。
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